ほっ、高齢者の体力・運動能力 向上傾向続く
高齢者の体力や運動能力は、この10年余り向上傾向が続いていて、日頃からよく運動している人ほど「歩く」「服を着る」といった日常生活に必要な基本動作の機能も高いことがスポーツ庁の調査で分かりました。この調査は、東京オリンピックが開かれた昭和39年度から国が毎年行っていて、昨年度は6歳から79歳までの6万5000人余りが対象となりました。
調査は握力やボール投げなどの種目で行われ、このうち小学生から高校生までの体力や運動能力は昭和60年ごろをピークに低迷していますが、ここ数年は緩やかな回復傾向にあります。
一方、65歳以上の高齢者は男女ともに、ほとんどの種目で記録が向上する傾向が続いています。▽6分間にどれだけの距離を歩くことができるかをみる種目では、75歳から79歳の女性で534メートル18センチと、この種目の調査を始めた平成10年より50メートル近く伸びたほか、▽片足で立っていられる時間は65歳から69歳の男性で87秒82と平成10年の記録を18秒余り上回っています。合計点は65歳から69歳の男性、70歳から74歳の女性、それに75歳から79歳の男女でこれまでで最も高くなりました。
また、今回の調査では、「歩く」「服を着る」といった日常生活の動作の状態を尋ねるADL=「日常生活活動テスト」の結果と日頃の運動の頻度との関係を分析しました。このなかで、休まないでどれくらい歩けるか尋ねたところ、▽日頃、運動をしない高齢者は「20分から30分程度」と答えた割合が最も多かったのに対し、▽週に3日以上運動している人では「1時間以上歩ける」と答えた割合が男性で73.9%、女性で60.5%に上りました。また、何にもつかまらないで立ったままズボンやスカートがはけるかどうか尋ねたところ、週に3日以上運動している人は男女ともに80%余りが「できる」と答え、運動していない人より15ポイント前後高くなるなど、日頃からよく運動をしている高齢者ほど日常生活に必要な基本動作の機能も高いことが分かりました。
スポーツ庁によりますと、ADLは介護が必要かどうかの指標にも使われるということで、健康スポーツ課の井上仁課長は「日頃の運動が、介護を必要としない元気な生活につながることが改めて分かった。健康増進のためにも運動やスポーツの環境整備に取り組みたい」と話しています。