ほぅ、鳥インフルエンザ 知っておくべき4つのこと

この秋、全国で感染の報告が相次ぐ「鳥インフルエンザ」。新潟県と青森県では養鶏場などで飼育されているニワトリやアヒルから鳥インフルエンザウイルスが検出されるなどして、50万羽以上の処分が行われることになりました。ひとたび感染が広がれば、養鶏農家などに多大な被害が出るのが鳥インフルエンザです。今、大切なのは、養鶏場での感染拡大をいかに抑えるかですが、鶏肉や卵は食べても大丈夫なのか。飼っているペットの鳥が感染することはないのか。気になる人も多いのではないでしょうか。知っておいていただきたい4つのポイントをまとめました。

そもそも鳥インフルエンザって何?

インフルエンザと聞くとまず思い出すのは、今月25日に全国的な流行期入りが発表されたヒトのインフルエンザです。ことしはA香港型と呼ばれるタイプのインフルエンザウイルスが主に流行していますが、実は、このウイルスも元はといえば、鳥インフルエンザでした。

インフルエンザウイルス(A型)には、現在、144種類があるとされていて、いずれも元はカモなどの水鳥が体内にもっているものです。

通常、水鳥の体内では、これらのウイルスは病気を引き起こしません。ところが鳥類に対して高い病原性を獲得した「H5型」や「H7型」と呼ばれる鳥インフルエンザウイルスを体内にもつ水鳥が、シベリアなどから南下する際、経由地となる日本などの水辺に立ち寄り、ふんをすると、その中には大量のウイルスが含まれていて、周囲にばらまかれます。これを野鳥などが体内に取り込むとウイルスが病原性を発揮し、臓器などがダメージを受けて死ぬのです。

また問題は、野鳥やネズミなどの小動物によってこのウイルスが養鶏場などにも持ち込まれることがあることです。狭い空間に大量に鶏が飼われている養鶏場はウイルスが広まる格好の場所で、一気に感染が広まってしまいます。

人に感染するの? 鶏肉や卵は食べても大丈夫?

農林水産省によりますと、日本では、これまで鶏肉や卵を食べて鳥インフルエンザにかかった例は、報告されていません。そもそも「H5型」か「H7型」の鳥インフルエンザウイルスが検出された農場では、同じ農場の家きんは殺処分するなどの対策がとられるため、ウイルスに感染した鶏肉や卵が市場に出回ることはないということです。

また鳥インフルエンザウイルスは加熱すれば感染性がなくるということで、仮にウイルスが付着していたとしても、食品全体が70度以上になるように、肉の場合はピンク色の部分がなくなるまで加熱すればよいということです。

このように通常、人には感染することがない鳥インフルエンザですが、世界的にみると感染例の報告があります。WHO=世界保健機関によりますと「H5N1型」と呼ばれる鳥インフルエンザには、エジプトや東南アジアなどを中心に2003年以降、856人が感染・発症、半数以上の452人が死亡しています。

こうしたケースは、鳥インフルエンザにかかった鶏を調理しようと手で羽を取る際などにウイルスを含む粉末状のフンを大量に吸い込むなどした特殊な場合で、通常、日本では起こらないと考えられています。

鳥インフルエンザは、ことし4月以降だけでもヨーロッパ各国や東南アジアからアフリカに至るまでさまざまな国の野鳥や家きん類から検出されています。いずれもその大もとは、シベリアなどに生息する渡り鳥と考えられています。これらの渡り鳥が、経由地に立ち寄った際、ウイルスを周囲に広げるのです。

京都産業大学鳥インフルエンザ研究センターの大槻公一センター長によりますとこれらの渡り鳥が日本に入ってくるルートは、以下の3つがあるということです。

まず、▽シベリアから北海道を経由するルート。次に▽シベリアから中国大陸を南下して朝鮮半島を経由するルート。そして、▽ロシアと中国の国境から直接日本海を越えて山陰地方などに来るルートです。

大槻センター長は、この秋の場合、鹿児島と鳥取で野鳥から検出されたケースでは、朝鮮半島経由のルートが、また、青森や新潟の養鶏場などから検出されたケースでは、シベリアから北海道を経由するルートで持ち込まれた可能性が考えられるということです。

またこの秋、日本国内で多く検出されているのは「H5N6型」というタイプの鳥インフルエンザウイルスです。大槻センター長によりますとこのタイプはここ数年、中国国内で感染が広がっていました。このため中国大陸からシベリアに戻った渡り鳥どうしの間で感染が広まり、この秋、そのうちの一部が渡り鳥の南下にともなって日本に持ち込まれた可能性があると指摘しています。
今 気をつけるべき事は? ペットの鳥は大丈夫?

鳥インフルエンザの対策で重要なのは、感染が確認された養鶏場からウイルスを広げないことです。

国のマニュアルでは、▽高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された養鶏場から半径3キロ以内の養鶏場にニワトリや卵の移動を禁止するとともに、▽3キロから10キロの範囲にある養鶏場に対しては域外への出荷などを禁止する対策を行うことになっています。

ただウイルスは、養鶏場を出入りする人や車などにも付着して広がることが知られていて、こうした感染の広がりを確実に抑えることが重要です。

一方、自宅で鶏やペットの鳥を飼っているので、心配だという方がいらっしゃるかも知れません。

農林水産省によりますと国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭などで飼っている鳥が感染するわけではなく、鳥を飼っている人は次のことに気をつければ心配はないということです。

▽鳥インフルエンザウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにする。▽飼っている場所はこまめに掃除し、フンはすぐに片づけ、こまめにエサや水を取り替える。▽鳥の体やフンに触れた後は手洗い、うがいをする。口移しでエサをあげない。

そのうえで、農林水産省は飼っている鳥を野山に放したり、処分するようなことはしないでくださいと呼びかけています。

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