脳血管障害

脳血管障害とは?

脳血管障害

1)主な脳血管障害の分類
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、血管性認知症、無症候性脳血管障害

2)脳卒中(脳血管障害)の各分類別頻度
⇒ 脳血管障害の中で、脳梗塞が7割(71,1%)を占める
・脳梗塞(71,1%)、脳出血(16,7%)、くも膜下出血(6,4%)、一過性脳虚血発作(5,8%)
⇒ 脳梗塞
・アテローム性脳血栓(24,1%)
・心原性脳梗塞(19,2%)
・ラクナ梗塞(22,7%)
⇒ 脳出血(16,7%)では、高血圧性脳出血が多い
・高血圧性脳出血(13,7%)
・脳出血(その他)(3,0%)

3)脳血管障害の危険因子
・高齢、男性
・高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、心房細動、喫煙、大量飲酒
・ハイリスク群:メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病
・これらの危険因子は、薬物療法や生活習慣の改善で予防できる可能性が高い

4)脳卒中(脳血管障害):症状
・片麻痺 :錐体路症状 ⇒ 片麻痺
・失語症 :運動失語、感覚失語
・意識障害:広範な脳梗塞
・痙攣発作:大脳皮質の障害、部分発作
・同名半盲:後頭葉、側頭葉、頭頂葉障害
・小脳症状:小脳、脳幹障害
⇒ 脳梗塞と思ったら“FAST”でチェック
・Face(顔面の麻痺):顔のゆがみ、顔の一方が力なく下がる
・Arm(腕の麻痺)  :左右平行に両腕を上げると片方が下がる
・Speech(ことば):言葉が出ない、ろれつが回らない
・Time(発症時間):症状に気づいたら時間を確認、すぐに救急車

5)脳卒中(脳血管障害):合併症
・寝たきり、低栄養、脱水、廃用性症候群
・関節拘縮、肩関節亜脱臼、片手症候群
・誤嚥、肺炎、褥瘡
・便秘、尿失禁、便失禁、尿路感染症
・脳卒中後の起立性低血圧、食後低血圧
・不動による深部静脈血栓症、肺梗塞

6)アテローム血栓性脳梗塞
⇒ 脳梗塞のうち動脈硬化が原因となるのがアテローム血栓性脳梗塞
・頚動脈や頭蓋内の比較的太い動脈硬化(アテローム硬化)が原因となり、脳の血流に障害がおこり、梗塞となる。
・睡眠中に多い。
・アテローム血栓性脳梗塞では一過性脳虚血発作が起こりやすい。
・脳虚血発作が起これば、1ヶ月以内に脳梗塞の発症が多い。

7)心原性脳梗塞症(心房細動 ⇒ 脳梗塞)
⇒ 心房細動が原因
⇒ 予防:心房細動に注意。健診等で心電図異常(心房細動)⇒ 病院へ
⇒ 治療(予防的)
・ワルファリン(抗凝固薬)
・最近はプラザキサ(直接トロンビン阻害薬)、イザグレト(直接Xa阻害薬)などを使用
・心房細動の治療:薬剤、カテーテルアブレーション

8)ペナンブラとは
・脳梗塞巣の急性期で、壊死層周囲にペナンブラが存在する。
・ペナンブラは、乏血状態だが、まだ細胞死は免れており、早い時期に血流が回復すると機能が回復する。
・遅れるとischemic penumbraも細胞死に陥る。
・rt‐PAなどにより、血栓を溶解し、早期に血流再開により、回復、rt‐PA治療は発症後4,5時間以内(早ければ早いほどよい)

9)ラクナ梗塞
・穿通動脈の小血管にリポヒアリノーシス(ヒアリン物質が内膜に蓄積)が起こり、大脳基底核、内包などに小梗塞を起こす
・予防は、高血圧管理、水分の欠乏を防ぐ。

10)脳出血
・高血圧性出血(13,7%)が多い。
・高血圧性脳出血:大脳基底核、視床、大脳半球白質、橋、小脳に起こりやすい。
・高血圧により脳実質血管(穿通動脈)に微小動脈瘤ができる。

11)くも膜下出血
・突発する激しい頭痛、嘔吐で発症。
・意識障害も約半数みられる。
・項部硬直などの髄膜刺激症状が出現。
・血管攣縮による脳梗塞を併発すると片麻痺がおこる。
・原因は、脳動脈瘤の破裂が多い。
・診断はCTでくも膜下腔の出血。
・時に、髄液検査で血性髄液、時間を経過するとキサントクロミー。

12)一過性脳虚血発作(TIA)
・脳の循環障害により一過性に脳局所症状を呈する発作で、24時間以内に回復するもの、多くは数分間で回復。
・頸動脈や脳動脈の動脈硬化性病変から剥離した微少な血栓による小梗塞が推定されている。
・脳梗塞に発症の警告発作として考える必要があり。
・急性期も再発予防も抗血小板(アスピリン、チクロビジンなど)で治療する。

13)脳卒中の一次予防とリスク管理:再発予防(薬、脱水予防、適正な血圧管理)
⇒ 高血圧:塩分制限、薬
・既存疾患なし:140/90未満
・糖尿病、蛋白尿合併症例:130/80未満
・抗血小板・抗凝固薬使用者:130/80未満
⇒ 糖尿病:食事、薬
・HbA1c 7,0以下
⇒ 脂質異常症:食事、薬
・総コレステロール   240以下
・LDLコレステロール 140以下
・HDLコレステロール  40以上
⇒ 心房細動:カテーテル手術、薬、抗凝固薬
⇒ 禁煙
⇒ 脱水にならないように:血液の粘調度増加、血圧が急に低下に注意

14)脳卒中(脳血管障害)のリハビリテーションと手技療法のポイント
・片麻痺:麻痺側のストレッチ、筋力回復、筋麻痺の硬直・関節拘縮の予防
・両側:ROM拡大、筋力強化、歩行バランス改善、関節拘縮予防、廃用性筋委縮の予防、共同運動を利用した麻痺側の筋運動誘発
・嚥下・呼吸の基礎訓練:頚部、肩、上肢挙上と深呼吸、顔面運動

15)脳卒中(脳血管障害)のリハビリ訓練中止基準
・安静時脈拍:100~120/分以上
・血圧   :収縮期血圧200以上(脳出血は160以上)拡張期血圧120以上
・体温   :発熱37,5度以上
・呼吸   :息切れ・呼吸困難・呼吸パターンの変化出現
・その他  :めまい・吐き気時など

脳梗塞

夏が最も多い
隠れ脳梗塞
(症状が現れない脳梗塞、無症候性脳梗塞と呼ばれる)

◦脳梗塞の種類
(・アテローム血栓性脳梗塞 ・心原性脳梗塞症 ・ラクナ梗塞)

◦脱水と血液の関係を検証
脱水は赤血球同士が繋がる
血液の濃度が高い
   ⇓
血管が詰まりやすい
お酒(ビール1ℓ飲むと、体内の1,1ℓの水分が尿で出る)
連銭形成
(赤血球が連結する状態の指標になる)
☆寝る前はコップ1杯分の水分補給をすること
☆喉が渇くという事は体の水分不足、脱水症状を反映しているので、こまめに水分補給をする方がいい
☆水分補給のポイント
生活サイクルの中で飲むタイミングを決めることが大切

◦一過性脳虚血発作
(一時的に脳の血流が悪くなり症状が出て24時間以内に消える)
症状は?
(・片側の手足や顔の麻痺 ・片側の手足のしびれ感覚が鈍い ・ろれつが、回らない言葉が出にくい ・片方の目が見えにくい)
特徴
・症状が突然起こり一時的ですぐ治まる
・身体の片側に起こる
・一過性の虚血発作後90日以内の脳梗塞発症率15%~20%
☆速やかに医療機関に受診することをおすすめします。
・血栓溶解剤
(脳の血栓を溶かし、血流を再開させる治療法、発症後4時間半以内であれば使用可能)
・血栓回収療法
(脳の血管にカテーテルを挿入し血栓を引き出す治療法)
☆医療機関での処置が速いほど、重症度を減らして社会復帰の可能性を増すことができる。

◦後遺症
・言語障害
・麻痺
・寝たきり